
浜松市中区富塚町449-1 (携帯地図)
Tel:053-474-0330
予算:950円〜(昼)、2000円(夜)
味 :★★★★☆
辛さ:★★☆〜★★★
量 :★★★☆
つい先日、浜松で「Spice Cafe Bija」というカフェを営む清川孝男さんという方と、目黒の「aunt MIMI」で顔を合わせた。その清川さんがaunt MIMIのコメント欄に来訪要請をくださったので、浜松まで顔を出してきた。
■有機野菜を使ったインド風カレーが名物
清川さんはBijaに多くのメッセージを込めて運営していらっしゃる。すべてを紹介しようとすれば何時間あっても文章が書き終わらない。まずはカレー関連で大事な2点に絞って触れておこう。
一つは、インドやネパールなどの途上国の支援につながるフェアトレードのスパイスを使っていること。もう一つは、地元や近隣県で栽培された有機野菜を使っていることだ。どちらも十数年前の学生時代から、途上国支援やスローフード、環境に関する活動に励んできた清川さんのポリシーの表れである。
もっとも、こうした社会貢献の姿勢に関心がない方でも、Bijaは訪れる価値がある。カレー好きの清川さんが手がけるレシピは、五反田でインド料理教室を営むレヌ・アロラさんのレシピなど各種インド料理をベースに、日本人に馴染みやすいようにアレンジを施したものだから。
■コースのお手本は東京のあのカフェ
さて、ディナータイムに訪れたら「Bijaカレーセット」(2000円)を注文したい。有機野菜を使った前菜2種、季節の野菜料理、やはり地場名産を使ったカレー1種、手作りスイーツ2種、ドリンクが付くコースだ。
このコースを見て「あのお店に似ているな」と気付いたあなたは、相当なカレー通かカフェ通。そう、押上の「スパイスカフェ」だ。清川さんはスパイスカフェの影響を受けつつ、地元の有機野菜をふんだんに使うことで独自性を出している。

早速、前菜の「ジャガイモの冷スープ」と「カボチャのマリネ」がやってくる。イタリアンやフレンチのようだ…と思ったら、「ヨーロッパで経験を積んだシェフが作っています」(清川さん)。この辺りもスパイスカフェとよく似ている。
冷たいスープなのに濃厚なジャガイモの滋味、カボチャの砂糖でも加えてあるかのような甘みに驚かされる。有機野菜の力ということらしい。

野菜の旨みを心から堪能していると、清川さんが「カレーの前にお口直しを」と小さなグラスを手渡してくれた。静岡名産のみかんを絞った生ジュースだ。もちろん、これも有機栽培。すっきりした甘みが心地よかった。
そして、いよいよカレーがやってくる。浜松のブランド鶏「とり一番」を使ったチキンカレーに、季節の野菜を使った野菜カレー、それとオクラ入りのキーマとのこと。なるほど、インドカレーに近い雰囲気をしているよね。ではでは、いただきます。
うん、どのカレーも完成度が高いね。インド風カレー好きの方であれば、多少の好みの差はあるにせよ、納得することは間違いない。
■おうちのカレー好きにも食べやすいとろみ付き
チキンカレーは、旨みたっぷりの鶏肉にシャープなスパイス感が立っているタイプ。野菜カレーはクリーミーながら、油の使い方が上品なおかげで全くもたれる心配がない。具のカボチャやニンジンは、それぞれしっかりとした「味」を楽しませてくれる。
オクラがちょこんと載ったキーマは、きめ細かいひき肉の旨みが素晴らしい。そしてチキンとともに特徴的だったのが、とろみをたっぷりと加えてあること。清川さんは「おうちのカレーに慣れ親しんでいる人向けに、とろみを付けて食べやすくした」と意図を語る。
これらのカレーのレシピはもともと、当初は純然としたインド料理に近いものだったそうだ。インド料理を食べ慣れていない地元の方の要望を取り入れつつ、徐々に改良していったとのこと。僕もインド料理らしいものよりも、今の味の方がいいと思った。

デザートと同様に上品な甘さのチャイで締めると、カレーコースはついに終了。いやあ、おいしかった。東京の一等地で十二分に通じる味だったし、これで2000円は破格と言うしかない。東京なら4000〜5000円でもおかしくないだろう。
清川さんの悩みは、地元の方への浸透がなかなか進まないこと。インド料理などに食べ慣れていない人にとっては、カレーに2000円という値段は高く感じられるのかもしれない。ただ、清川さんの心意気が素晴らしいのは確か。多くの方に認知され、末永く続いてほしいカフェだ。
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なお、浜松駅からはかなり離れた場所にあり、タクシーで1500円ほどかかる。遠方から訪問するあなたは、浜松駅前から富塚車庫に行くバスに乗るのをおすすめする。
むー。場所柄のアレコレ反応は多少想像つくかも?(うちの母親東海出身なんすわ)
長々とした文章に反応を寄せてくださり、恐縮です。お母様は東海のご出身ですか。浜松もいろいろご存じですか?
もっと時間がある時にちゃんと訪れてみたいと思いました。そのときはいろいろ教えてください。
カレー特集の雑誌は東京・大阪・名古屋が中心なので、
こういった地方のお店というのを紹介いただけるのは
非常にありがたいです。
なかなか行く機会がないと思いますが、
何かの折にこちらに行く際には、
是非訪れてみたいと思います!!
dancyuの特集でスパイスカフェと並んで紹介されていた京都のお店が気になっていたのですが、浜松にもこんな素敵なお店があるのですね。地元の食材というところも惹かれます。
ハードルは高いですが、是非とも行ってみたいです。
雑誌などのメディアは、どうしても一定量がはける地域の情報に偏ってしまいますよね。経費予算の縛りもありますし。
こういった地方のお店こそ、小回りの利くブログなどでうまく伝わるといいですよね。
>たいめいさん
実はBijaのオーナーさん、京都のラトナカフェにも通っていらしたんですよ。当然、影響を受けていることと思います。
さすがたぼうさん、素早くいかれましたねえ。
静岡界隈はわりと以前から親しみのある地域で土地勘もある程度あり、好きなのですが、いかんせんよいカレー屋さんが少ない印象が強いです。
最近の事情はわからないので、出張、してみたいなあ、、、
近隣に用事ができたので、顔を出してきました(^-^)
静岡に親しみがあるとは。はぴいさんはいつも意外なところに知識とか、つながりとかをお持ちですよね。奥行きがあるなぁと感心させられます。
清川さんのお話によると、浜松市内にはビリヤニを出すベンガル料理店ができたそうです。果たして定着するでしょうかね。
先週の土曜日、浜松行きだったが、浜松には良いカレー屋がなさそうだったので、昼は鰻にしようと思っていた矢先、この記事が!
この記事を読んだだけで名店であることを確信し、迷わずここに直行。
ランチは、サラダバーとスープ(にんじんに冷製)が付いており、チキンカレーを頂きました。
カレーはスパイシーながらも上品にまとめあげ、肉も野菜もドレッシングもスープもどれもすごく美味しかったです。
この店を訪ねるために浜松を訪れる価値があるくらいの名店だと思います。また、絶対行きます。ご紹介有り難うございました。
いつもご覧くださり、ありがとうございます。浜松のお店紹介が意外にも役立って、良かったです(^-^)
とにかく野菜の質が高いですよね。ちゃんと良質な素材を使い、ちゃんとしたレシピで作ると格段においしい料理ができるということを証明してくれています。その「ちゃんと」が難しい昨今なわけですが。
次回はディナーにも訪れてみてください〜。
blizzard と申します。いつも楽しく拝見させて頂いています。
GWを利用して Bija へ行ってきました。
バス通りに面しているにも関わらず、入口を奥に置く手法からも押上のあの店を意識していることが伝わってきました。
ディナーのコースをいただきましたが、前菜のマッシュポテトのスパイス感に驚き、カレーはとり一番さんの鶏の食感と野菜の甘みが素晴らしく、バスに揺られても行った価値がありました。
今週末には、水野仁輔さんを招いて『浜松コラボカレー』を開催されるなど、地域のイベント企画力・発信力にも目を見張るものがありますね。
浜松界隈に行く機会があれば、ぜひ時間を割いて再訪したいお店になりました。
初めまして。いつもご覧くださり、ありがとうございます。
おお、Bijaに行かれましたか。相変わらずのおいしさなのですね。コラボカレーのお話、僕もそろそろ記事に書こうと思っていたところでした。ありがとうございます。