「ニセモノの良心」というブログを綴っている孝好さんが、ネットの可能性、狭義には「ブログジャーナリズム」とやらを悲観するエントリーを書かれ、その内容に対してメディア業界っぽい人やら既得権益を嫌う人やらで盛り上がっています。孝好さんには個人的にいろいろお世話になっているので、たまには僕も釣られようかな、と思ったのでした。
というのも、孝好さんがブログジャーナリズムとやらに期待されていた3年ほど前、メディア関係者かつブログ書きの方々(の一部)がそれを煽っていることに対して疑問視するエントリーを書いていたからです。影響力はまるでありませんでしたが。
孝好さんのお考えはよく分かるし、おおむね同意です。ただ、視野を広げると別の可能性も見えてきませんか? と思ってこの記事を起こしました。
■やはり“硬派”のジャーナリズムはネットにはつらかった
孝好さんが仰るとおり、ブログジャーナリズムとやらの話題で当時主役級だった方々の現在を見ると、個人レベルでは一定の成功を収めた方はいるものの、ブログというフィールド全体で眺めた場合、成果を上げたとはとても言い難いですね。
ネットでは、既存メディアが発した一次情報をネタに盛り上がったり、あるいは報道内容がよろしくなかった場合に発信元を叩いて吹き上がったりすることは多い。でも、一次情報の発信力をネットが十分に身につけたとは思えない。少なくとも既存メディアが発信する一次情報のうち、“硬派”のものについては。一時的なスマッシュ・ヒットはあるかもしれないけれど、安定供給にはほど遠いでしょう。
だから、“硬派”の一次情報という意味合いでは、孝好さんのエントリーに同意です。守秘義務、金銭的な利得が得にくい、リアルが忙しい、面倒くさいなどなど、いろんな制約から、専門家はなかなかネットに出てきてくれません。たぶん、専門家を見つける作業は、Google先生などが頑張れば解決すると思います。しかし、そもそも専門家がほとんど出てこないのだから、そこを何とかしないといけません。
■“軟派”の情報にも目を向けてみては?
でも一方で、“軟派”の分野だと違うことを主張できるな、と僕は思っています。例えば…
食の分野などは好例だと思うのですよ。
10年ほどのグルメ系のお店紹介本やムックの傾向を見ると、(著者に知名度がないかぎり)データを網羅しただけの説得力が弱いものは明らかに売れなくなりました。「食べログ」などの口コミ系に食われたことは、ほぼ間違いないでしょう。
さらに言えば、割と良心的に作っていた雑誌やムックも変化を余儀なくされています。少し前にマガジンハウスの「Hanako」がリニューアルしたことや、ぴあから純粋なカレー屋さん紹介ムックが出なくなったこと(レシピ紹介やうんちくなどを一緒に加えています)がその象徴です。ブロガーを起用してムックの質を高める事例も、いくつか見受けられるようになりました。
■レシピを見れば、ネットの可能性も見えてくる
グルメ以上に顕著なのはレシピ分野です。著名企業が一般ブロガーに自社商品のレシピを募集するような流れが出来上がってきています。「レシピブログ」などのサイトをごらんいただければ分かります。こうした分野では、従来は企業でもなかなかできなかったことが、ネットのおかげでできつつあるわけです。
このように、ブロガー自身が一次情報を発信しやすい分野では、3年前とは明らかに違う流れが起こっています。まあ、食の話題をジャーナリズムと呼ぼうものなら、“硬派”のジャーナリズムを追求する記者さまを多数擁するメディア企業は反発しそうですけどね(^_^;) 自戒を込めつつ。
そんなわけで、今は専門家が出てきていない硬派の分野も、可能性を全否定する必要はないのかな、とも思うのですよ。煽りすぎず、といって否定しすぎず、生暖かくネットの行く末を見守っていきませんか(笑)
私:個人的には店情報よりこういう本文の方が読んでて有意義に感じるんだけどなー。もちろん店情報も便利この上ないんだけどね〜。うひひひ。(^^)
こないだ池袋のAラージ約1年ぶり行って来ましたわ♪前回ランチ、今回晩メシ。うーん、美味しかったずらよ〜♪♪♪
ありがとうございます。今回のような内容を読みたいと仰る方はそれなりにいるんでしょうね。
僕自身、読み書きが嫌いな話題ではありません。本気でやれば、東京のカレー屋さん情報より多くの方に読んでもらえる気もします。東京ローカルから全国に対象読者が広がりますから。
ただ、この手のネタを頻繁に書くのは、僕にとってはリスクが高いんですよねえ(^_^;) エントリー中の専門家が出てこない話ではありませんが。
A・Rajは変わらずおいしいんですね。よかったです。
私もこういうたあぼうさんのお話が好きな
者の1人ですf(^^;)
数年前はブログがブームになってましたけど
最近は全然そういう話を聞かなくなりました。
確かJ-WAVEの番組でちょっと聞いたのですが
「●●ってブログの記事の〜」って会話が
オフィスで行われたりするほどには普及していなく
即効性のあるメディアとしての力はなかなか…と
いうのがありました。
私はブログなどは流されていってしまうものではなく、
蓄積型の情報だと思っています。
まぁそれはともかくf(^^;)
A・Rajには再開されてから行ってないです。
久々に行ってみようかなぁ。
それでは、失礼しました。
ありがとうございます。
ブログのブームが終わったのは間違いないでしょうね。ブログが一般の人にとってブームだったのは、おそらくUSHIZOさんや僕がブログを始めた2004〜2005年頃。3年も経過すると情報発信の意欲が高い人でない限り、飽きが来たり、ネタ切れしたりしますからね。
さらに、その間にもっと手軽に発信できるTwitterのような手段ができたり、友達とだけやり取りできるmixiのような手段が広がったり、鑑賞主体で掛け合いもできるニコニコ動画のような手段ができたりしました。それだけ、人の興味も分散したことでしょう。
USHIZOさんが仰るように、蓄積型というのは一つの方向性だろうなぁと僕も思っていました。それを偉そうに「メディア論(笑)」として語るより、実践できないかと思って始めたのがこのブログです。
一方で、最近はそれ以外の方向性を探ってみるべきだなと思っています。今更ながら、自分のやり方はネットとあまり相性が良くないなあと感じるようになりまして(^_^;)