中央区銀座7-7-11 菅原電気ビル2・3F
(携帯地図)
Tel:03-3572-4949
予算:1200円〜(カレー)
味 :★★★☆
辛さ:★★☆
量 :★★★
昭和10年ごろ、出雲藩の受領地だった銀座7丁目の界隈にツバキの街路樹が植えられるようになった。これがきっかけで、出雲通りと呼ばれていた通りはいつしか花椿通りと呼ばれるようになった。
ツバキの街路樹が植えられたのと同じ時期、菅原電気ビルという建物が竣工した。同ビルは今もなお残っており、入口から長く続く階段などに大正〜昭和初期の面影を色濃く残している。
椿屋珈琲店は、そんな魅力的なエピソードを持つ通りと建物を存分に生かして営む喫茶店である。前身の喫茶店の時代から数えても30年あまりの営業期間ではあるけれど、店内は銀座の古き良き時代の洋館をイメージした造りで、レトロかつ品の良さを漂わせる。
メニューは店名のとおりコーヒーが中心になっている。ただし、食事メニューの中に「ビーフカレー」(1200円)が混じっている。自慢のコーヒーと一緒に注文する場合は1700円となる。僕はコーヒー付きを注文した。
しばらく待つと綺麗な器に盛られたカレー・ソース、色鮮やかなライスなどの一式がやってきた。いただきます。
うん、お店のイメージとも合っている品の良い欧風カレーだね。
とろみをたっぷり付けつつも、もっさり感がない不思議なカレー・ソースだった。スパイスによる辛さ、炒めたタマネギをベースにした甘みとも、バランスよく出ている。ライスにかけると豊潤なコクを堪能できた。
カレーソースにどっぷりと浸かっているビーフも良かった。一見ではなんてことないものだけど、適度な味付けを施してあって、口の中ではとろけるように柔らかくなっている。一口頬張るたびに、良いカレーを食べている気分に浸れること間違いなしだ。
突出した特徴はないものの、全体としてバランス良くまとまっているカレーだと思った。
また、食後のコーヒーもカレーと同様に美しい器に盛られてくる。深みのある味わいで、しかも今どきのコーヒー・チェーンのような重さは感じさせないところが良かった。長年営業している喫茶店らしいブレンドに好感を抱きつつ、僕はお店を後にした。
銀座という場所柄、少々値段がお高いのが難ですが。宵の口のころ行くと、これからご出勤と思われる和服姿のクラブのママさんが、静かにコーヒーを飲んでいたりします。
そういった、一種背筋の通った空気感が、この店の特徴です。これは失わないでほしいですね。
流行のカレーとは異なりますが、高級ホテルにはそれに似合うカレーがあるのと同じように、レトロな喫茶店に似合うカレーと言えそうです。
おお、クラブのママさんがよくいらっしゃるのですか。存じませんでした。言われてみれば、頭の中に思い浮かべやすい自然な情景ですね。
>辛党さん
僕は面影屋珈琲店を存じませんでした。情報ありがとうございます。お店のコンセプトに合わせたカレーを考え抜いた結果なんでしょうかね。興味深いものがあります。