これだけ高い金を払う人は当然限られる。僕が乗った「AMRITSAR MAIL」号には「冷房付き1等車両」はなくて、冷房付き2等と車両を分け合っていた。またコルカタの鉄道駅から乗車したのは僕のほかに二人だけ。
車両内は今までの旅と様相が一変した。同室のインド人客2人は携帯電話で話していることが多く、僕にやたらと話しかけてはこない。でも「バラナシにいつ到着するのかわからず困っている」と相談したら、到着時にしっかり教えてくれた。洗練されている。
効き過ぎるほどの冷房と相まって、バラナシまでの17時間ほどの移動は快適だった。機嫌が良くなったこともあって、ちょっと冒険してみようかという気分になる。バラナシ駅で待ち構えていた客引きのおっちゃんに勧められるままに、その宿に泊まってみようと思い立ったのだ。
日本でも新宿・歌舞伎町あたりで客引きを見かける。彼らが勧めるカラオケ・ボックスなどに行くと、言われていたよりも高い料金を取られるなどして、ガッカリさせられることが多い。で、インドはどうかというと、やっぱりガッカリさせられたのだった。
■おおむねカタログどおりだが、必ずオチが付く■
客引きが勧めてきたホテルの名前は「SAI KRIPA Guest House」。その紹介カードを見ると、冷房付きの部屋が500ルピー(約1300円)とまあ標準的な値段。ガンジス川まで歩いて2分と書いてあり、立地も悪くなさそうに思えた。
しかし、ホテルに到着して話を聞くと、「冷房の部屋は700ルピーだ」。話が違うと抗議すると、「500ルピーの部屋はエアクール」というオチ。エアクールは水冷式の巨大な扇風機のようなもの。水が冷たいうちはいいけれど、その後は騒音と熱風を吹き付けてくる代物だと気付くのは12時間後だった。
川から歩いて2分は正しかった。ただし、観光客の多い中心部からかなり南にずれていた。周りは寂しい限りで、近所に食事が摂れる場所もほとんどない。やむを得ずホテル上階のレストランに入ったら、ラッシー一つが出るまでに30分以上。カレーとチャパティが出るのはさらに30分を要した。このサービスで10%のサービス料を強要してくるのだから…(^_^;)
さらに、先客のかっこいいお兄さん(ドイツ人と日本人のハーフ)が「部屋の鍵がみんな同じだから気を付けた方がいいよ」と親切に教えてくれた。間違って隣の部屋に鍵を差し込んだら開いてしまったのだそう。自前で用意しておいた錠前でロックできるからいいんだけどさ (^_^;)
ほかにも「1泊しかしないなら、40ドルのツアーを申し込んでくれ」など、いろいろ言われたけれど、こういった話は軽くやり過ごした。
とこんな具合で、「余計な苦労をしたくないなら客引きには付いていっちゃいけない」という、面白くも何ともない教訓が得られるのがバラナシの宿だった。
<おすすめしない宿の名前はこちら>
SAI KRIPA Guest House
B.3/226, Shivala, Near Cheat Singh Fort
Tel:+91-542-2276854
shaistasilk786@yahoo.com
ありがとうございます。
ガイドブックにはお勧めは載っていても、
逆は載ってませんから参考になります。
デリー、アグラ、バラナシ、ジャイプール等、
有名観光地の客引きは、しつこいし
ついて行ってろくな事はないですね。
要注意です。
仰るとおりです。インド以外の各所で客引きを経験しており、良かったケースはほんとにごくわずかです。
それでも命に別状がなさそうなときは、好奇心から試したくなってしまうのですが (^_^;)