2006年05月01日

ガンジス川に抱かれる−−バラナシ3

ガンジス川対岸四方八方から話しかけられて観光できないバラナシだが、せめてガンジス川とは触れあっておきたい。そう思った僕は、日が沈みつつある18時頃、夕刻に川へ繰り出した。

早速、「カモが到来」とばかりにインド人オヤジが声をかけてきた。交渉下手な僕は術中にはまり、あえなく1時間150ルピー(約390円)という割高料金で乗船する羽目になった。とほほ。

例のごとくジーンズの前ポケットに入れていたお金は160ルピー。オヤジに渡す分を差し引くと10ルピーしか残らない。あいにく財布にも手持ちのルピーを切らしていた。だから後から「ガンジス川にお供えする花を買ってくれ」と求めてきたお婆さんには、10ルピーしか払えなかった。

10ルピーを受け取ったお婆さん、「20ルピーだぁぁ」(ヒンディー語を推測)とわめき出した。僕はお婆さんに「ごめん。手元資金が尽きた。恨むなら先にぼったオヤジを恨んでくれ」と日本語で釈明。するとオヤジは感づいたか、わめき続けるお婆さんに構わず櫂をこぎ出した。ボートはあっという間にお婆さんを置き去りにして川の中央へ。

■ヘイ、ジャパニ、ルック!■

ガンジス川ででんぐり返ししまくっていた子供たち日が陰ってからのガンジス川はなかなか心地よい。太陽に晒されず消耗が少ないし、生ぬるい風が軽く吹いてくれるからだ。順調に対岸に到着。ほかの観光客と同じように履き物を脱いでガンジス川に浸かった。ただし、その場の大半のインド人に習って下半身まで。

全身浸かれって? 半端者ですみません。蒸留水で24時間生きられるコレラ菌が、たった3時間しか生きられない(by地球の迷い方)ほど毒性が強い川に、全身をゆだねる勇気が湧きませんでした…

もちろん、現地には気にしない剛の者もいる。ガキど…もとい、子供たちだ。彼らは深入りしない僕を挑発するように、声をかけてきた。「ヘイ、ジャパニ、ルック!」

ザバーン

連中は川の中で一斉にでんぐり返しを始めた。粘膜にダメージが受けるなんて些細なことは一切気にしない姿勢。認めてやろう。何もあげられないけど。

■オヤジ「これは提案じゃない」と主張しつつ提案■

これが要注意のオヤジガンジス川に抱かれる経験は良かったが、簡単に終わらせてくれないのがインドの旅。やっぱりちゃんとオチがあった。オチの正体はオヤジだ。

ボートに乗っている間、ひっきりなしに話しかけてきた。最初のうちは街のガイドだったが、だんだん余計な話が大半を占めていく。「これは提案じゃない」と言いつつ、自分の扱っているシルクショップの話が始まる。

乗船時間が終わりに近づくと、「俺のシルクショップに来ないか。現地プライスで出してやる」という話ばかりになる。「さっき提案じゃないって言っていたのは誰だよ」と言いたくなるが、まだ川の上。オヤジを逆上させてもあまり楽しい結果にはならない。笑顔で断っておく。

ボートがいよいよ最終盤に近づくと「もう1時間乗らないか」。それも断って150ルピーを渡すと、「10ドルにしてくれ」と言い出してきた。ちなみに10ドルは約440ルピー。面白いことを言うなこいつ。

何度か押し問答をした末に、ようやく下船する。いやぁ、インドの旅はほんと楽をさせてくれない。だからこそ面白いとも言えるのだけど。

ガートで毎夜7時に開かれる祭
posted by たあぼう at 18:00 | Comment(0) | TrackBack(0) | インド旅行
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