ところがコルカタ、バラナシと歩いてきた僕の印象は全く違うものになった。「おお、意外とまともに観光できる。いい街じゃないの!!」。インドももう5日目、日本人としての「まともな感覚」が狂ってきたのかな。
■「客引きがしつこくない」だけで感動■
でも実際、観光や事務処理がスムーズに進んだと思う。鉄道駅の切符売り場までの道で通せんぼされなかったし、安宿が集まるパハール・ガンジで出会った客引きたちはすべて簡単に振り切れた。バラナシやコルカタで苦労したのが懐かしい。
朽ちかけの建家が頑張るオールド・デリーの街並みは、不潔と思う人がいるかもしれない。でもコルカタの街並みを見た身には「まあ普通だよね」という程度。むやみに話しかけてくるインド人ともほとんど出会わず、ムガル皇帝の居城であるラール・キラー内部はゆったりと見学できた。
あ、複数の客引きに声をかけられるだけで面倒な話だよなあ。それがほんの数日インドにいるだけで、「客引きがしつこくないよ!!」と感動するまでに変わる。謙虚な心を手に入れたければ、インド旅行はおすすめです。
■リクシャーの天敵、地下鉄が中心部まで開通■
実は、観光が割と快調にこなせた要因はもう一つある。オートリクシャーを使わずに、オールド・デリーに出かけられるようになったことだ。市街の中心部に地下鉄が開通したんである。
地下鉄は開通して1年足らず、「ここは本当にインドか?」と疑うほど清潔だ(コルカタの地下鉄とは大違い)。もちろん冷房も効いている。料金は初乗りが6ルピーで、距離が増えるにつれて数ルピーずつ増える。オートリクシャーが20ルピー以上かかることを思えば安い。
オールド・デリーのほか、新市街のコンノート・プレイスに出かける際も活用しがいがある。このため僕はインド門を観光する際もひとまず地下鉄でコンノートまで出向き、そこからオートリクシャーを利用した。こうして快適な観光ができるのだった。
ところがところが。
「デリーは観光しやすいけど、何か物足りないなぁ」という気分になってきてしまったのだった。
僕が好きな年代の建造物にあまり出会わなかったこと、150ルピーも要求されたモスクが、かつてウズベキスタンやイランで見たものほど壮麗さを感じなかったことなど、様々な原因がある。
でも何より、だましに来る相手と丁々発止のやり取りをしてこそ楽しい旅なのかもしれない。少なくとも北インドでは。
というわけで、僕の感覚は「狂ってきたのかな?」ではなく、すっかり狂ってしまったようだった。
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<旅したい方向けの情報>
●デリーの地下鉄はガイドブックに未掲載(2006年5月時点)
デリーの地下鉄、05〜06年版の「地球の迷い方」や「Lonely Planet」にはまだ載っていない。でも使わないのはもったいない。次に出る版で網羅されることは確実だろう。
ひとまず公式Webサイトから路線図を入手しておきたい。
コンノート・プレイス、オールド・デリー、バスが発着するカシミール門あたりでの利用が便利。これでパハール・ガンジ近くに駅があれば理想的…なんだけど、残念ながらニューデリー鉄道駅の反対側にある。対岸まで渡れば利用できるけれど、渡るのにかなり時間がかかる。
このお陰でリクシャーのおっちゃんとのバトルに
エネルギーを使わずに済みますね。
それにしても短期間でインドをマスターして行く
たあぼうさんってスゴイです。
ほんと地下鉄は省エネになります。綺麗な車両のせいか、割とみな紳士的な態度で乗車しているような気もします。
後はインド門、フマユーン廟、ニザム・ウッディーン駅方面に伸びると嬉しいんですけどね…
とうていマスターしているとは言えませんよ。もっと期間が欲しいです。こればっかりですが(^_^;)