
アグラの町中では、至る所でガキど…子供たちがまとわりついてきた。彼らが僕に求めてくることは、シンプルかつワンパターンだ。まずは「金(かね)をくれ」、くれない相手には続けて「チョコレートくれ」である。
物乞い式“起承転結”
要求方法も要求内容と同様にワンパターン。カモとおぼしき外国人観光客を見つけると、集団でワアーッと寄ってくる。客を捕まえるとたいてい以下の順番で言う。
「ハロー!!」
「ジャパニ!!」
「フレンド!!」
「マネー!!」(その後、ハロー以外の3単語が延々と続く)
最後まで言い終わるのに1分とかからない。「困窮する物乞い」っぽい暗さがなければ、面白みも全くない。こちらからどうやって金を取ろうかという工夫心も感じられない。そんなのが何度も続いたせいで、冒頭の大人げない発言になってしまったのだった。
日本語で言ったから通じるはずはない。ところが「マネー!!」の声が一瞬やんだ。おや?と思ったのも束の間、「フレンド、チョコリ!!」(チョコレート)。…結局これかい(-_-;)
もっとも、子供は親の背中を見て育つもの。大人たちの観光客に対する態度がまたひどいから、しょうがないのかもしれない。

5ルピーのお釣りをめぐって5分の押し問答
特に商店主の態度は酷かった。10〜12ルピー(約26〜32円)が相場のミネラル・ウォーターを15ルピーとせこく吹っかけてくる。定価で水一つ買うのにいちいち値下げ交渉をしなければならないのだった。
別の店では、25ルピーのジュースを買うため30ルピーを渡したところ、相手が「30ルピーだ」などと言い出しきた。お釣りを渡さない気らしい。5ルピーを返してもらうまでに5分あまりも押し問答する羽目になった。
ようやく5ルピーを返してもらえることに成功した。そうしたら手渡される瞬間に舌打ちのおまけ付き。…舌打ちしたいのはこっちだよ!
日本人観光客の機微を心得た運転手、その名はナカムラ
もちろん、アグラの人の全員が全員、つまらないぼったくりではない。中には一般的な日本人客の機微を心得た小賢しい商売をするヤツもいた。アグラ駅から出てきた僕を無理矢理捕まえにきたリクシャー運転手、自称ナカムラである。
ナカムラは僕に半日貸し切り運転手になると提案してきた。アグラは無駄に広く見所が点在している。そのあちこちを回って150ルピー(最初は200ルピーと言ってきた)という。この値段、相場より明らかに高いが、何倍も高いわけではない。日本人が納得してしまえる額をうまく提示してきている。
ナカムラは時間にも正確だった。各観光スポットに入る前に、観光時間を打ち合わせる。1時間後と指定すれば、その時間にきっちりと入口で待っている。道中で無駄口も叩かない(ただし、ヤツから渡された日本人のみなさんの手紙を読む限り、女性にはいろいろ話しかけてくるらしい)。
おかげでホテルからタージ・マハール、アグラ城といったルートを効率的に回ることができた。短期間の旅で回るにはなかなかよい選択肢と言えそうだ。
金の切れ目が縁の切れ目
ところが、ひねくれ者の僕はこの無駄のない移動が、だんだん味気なく感じてきてしまった。ラヴィとの旅を経験したせいだろうか。ラヴィと対峙していた最中はいちいち腹を立てたくせに、我ながらワガママな性格である。
アグラ郊外の世界遺産を見に行くことを口実に、ナカムラとはお昼でサヨナラすることにした。ボーナスとして200ルピーを手渡す。金を渡し終えるやいなや、それまで僕に笑みを絶やさなかったナカムラの顔から、笑みがすっと消える。金の切れ目が縁の切れ目か…
にしてもさ。
作り笑いでいいんだけど、せめて、別れるまでは愛想良いふりしておいてくれよ。その方が君のことをもっと良く書いたかもしれないぞ〜。
タカ(バングラデッシュ通貨)・デン(くれ!)
です。w
でも向こうの子供かわいかったなw
どこも同じですね…(苦笑)
現地語のほうがまだ愛敬を感じるかなあ。