2006年05月05日

モデルばあちゃん−−デリー3

フマユーン廟インド人と丁々発止のやり取りを繰り広げてきた旅もいよいよ終わりが近づいてきた。早朝6時、僕はアグラ鉄道駅からデリーへと戻る列車に乗り込んだ。翌日の朝にはインドを発たなければならない。

行きのSHATABDI EXPRESSとは違う庶民向け列車に乗った。所用時間は倍近くかかり、軽食も出てこない。およそ便利とは言いがたいけれど、これが標準的なインドの鉄道の旅なんだろう。

4時間ほど揺られてデリー市内に戻ってきた。ただし、乗った列車は旅行者が最も利用するであろうニューデリー駅まで行ってくれず、南東部に位置するニザム・ウッディーン駅が終着駅だった。僕はこれを逆用して、ニザム駅から直線距離で1kmほどのフマユーン廟を訪れようと決めていた。フマユーン廟はムガル帝国第2代皇帝の墓。ユネスコが1993年に世界遺産に登録している。

お墓■撮影スポットを提案するばあちゃんに出会う■

サイクル・リクシャーに乗ること数分、フマユーン廟に到着した。入場料5ドルを払い、敷地内に足を踏み入れる。

軽く数百メートル四方はある広大な庭園の中央に、褐色の対称形の建造物がどっしりと構えていた。これが廟か。規模や荘厳さではタージ・マハールにかなわないけれど、雄々しさが全面から伝わってくる。

ドーム内にも入ってみた。中央には大理石のお墓が置かれていた。と、そのそばにインド人のばあちゃんがいた。彼女は手招きし、ドーム内の窓際に行くよう僕を促した。そこまで僕が行くと、「敷地の入口方面の写真を撮影したらどうか?」と、身振り手振りで提案してきたのだった。

言われるままに撮影したら、後でバクシーシ(喜捨)を要求されることは確実だ。でも、僕は妙に気に入ってしまった。「自分がモデルになってやるから撮れ、それからバクシーシくれ」といったよくある傲慢な主張とは違い、「景色を撮れ」というちょっとした工夫を感じたからだ。

そこで僕は、「ばあちゃん、モデルになってくれまいか」と交渉を開始した。代金はポケットに入っていた全額と考えていた。取り出してみると、6ルピーしかない。これは交渉が大変かもしれないな(^_^;)

6ルピーでモデルになってくれたばあちゃん■身振り手振りでタフな交渉■

ばあちゃんは、意図はたちどころに理解してくれた。でもなかなか首を縦に振ろうとはしない。やっぱり金額がご不満な様子だ。そりゃそうか。

とは言え、僕もどうしても撮影したいわけじゃないし、財布にも10や20といった手頃なルピー紙幣を切らしていた。身振り手振りで、今用意できる全額が6ルピーであることを示す。

数分やり取りが続いた後、ばあちゃんは「トゥエンティ」と主張してきた。僕は首を横に振る。すると、ばあちゃんは交渉を打ち切った。そうかあ、仕方ないなあ。

あきらめてドームの出口へと歩いて行くと、「ウェイ!!」と後ろから声がかかった。お、もらえるものはもらっておこうと考えを改めたらしい。交渉が成立したぞ。

こうして、ばあちゃんはモデルになってくれた。今回の旅で言うと、これが最初で最後の、了解を取って撮影できたインド人女性の写真なのだった。


posted by たあぼう at 11:30 | Comment(2) | TrackBack(0) | インド旅行
この記事へのコメント
こんにちは。

おばあちゃんもタフですね。
交渉の様子がリアルに感じられて面白かったです。
「こっち方面の撮影をしたらどうか」というのも
面白いですね。
あらゆる意味で濃い国、インド。こりゃ行ってみないと。
ヨメを説得するのが大変ではありますが。

それでは、失礼しました。
Posted by USHIZO at 2006年06月25日 12:11
USHIZOさん

書き忘れましたが、渡したお札が「もう少しで破れそう」と、抗議もされました(笑) 生きていくには見た目に現れない逞しさが必要だな〜なんて思ったりしたようなしないような。

突っ込み上手の奥様に、ぜひ各所に現れるインド人を突っ込んでほしいです(^-^)
Posted by たあぼう at 2006年06月25日 21:37
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