6月の半ば、食楽の座談会でのこと。横濱カレーミュージアム初代名誉館長の小野員裕さんから、こんな話を聞かされました。それ本当ですかっ!? 僕は驚きました。何しろ小野さんは、純粋なインド料理よりも上野のデリーや高田馬場の夢民のようなカレーライスのほうがお好み。だからレシピ本を出すとしても、カレーライス系だろうと思っていたからです。まさか純インド料理で勝負するとは…。
それから1カ月。注目の本が発売となりました。タイトルは「おうちで本格インドカレー」。発行元は子供の頃に算数の教科書などでお世話になった東京書籍でした。
中身をパラパラと確認して改めてびっくり。変化球はなく、真っ向勝負の作りです。まずスパイスの基礎知識から始まり、挽き方、さらにはテンパリングの仕方までしっかりと解説。同様に野菜の切り方やタマネギの炒め方にもページを割いています。おいしいものを作ってもらおうという姿勢が伝わってきます。
■定番はもちろん「チキン65」や「キャベツのポリヤル」も再現
続いていよいよカレーなどインド料理の作り方へ。鶏料理を例に取ると、一般的な北インド系のチキンカレーはもちろん、「マドラスチキンカレー」のような南インド風や、唐揚げに似た「チキン65」といった珍しいタイプまで載っています。なるほどタイトルに本格をうたうだけのことはありますね。
このほかにも「キャベツのポリヤル」や「サンバル」といった南インド料理、「チャナチャット」(ひよこ豆のサラダ)などのサイドメニューまで幅広く紹介されています。これなら都内のインド料理店の人気メニューがほぼ一通り作れそうです。まあ、本来はタンドールを必要とするナンは、どれだけ再現できるか分かりませんが(^_^;)
ともあれこれ1冊でいろいろ楽しめるのは間違いないでしょう。それにしても小野さんがこんなインド料理本を出すのはなぜだろう? と疑問に思ったのですが、その答えのヒントは共著者にありました。
この本の共著者は中村直也さん。メディアにはあまり露出していませんが、これまでもエスニック料理のガイドやスープカレー本で実績を積んでいる方。小野さんが一目置くどころから、敬意を抱いている大御所なんですよね。そんな中村さんのレシピだからこそ、小野さんも一緒に本を作ろうと決めたというわけです。
■「ラッサムにそうめんを浸して食べると実にうまい」
なにぶん正統派の作りのため、インド料理のレシピ本を何冊もお持ちの方には新鮮味が弱いかもしれません。それでも、「ラッサム(南インドの酸味のあるスープ)にそうめんを浸して食べると実にうまい」といった料理ごとの豆知識は面白く読めました。小野さん節らしさが実によく出ているところです。
1260円という比較的手頃なお値段を含めて考慮すると、作る派はもちろん、僕のような食べる派も手に取る価値はあるかなと思います。小野さんには個人的にもお世話になっているので、偏った意見になっているかもしれません。読んでくださっているあなたは、その分を割り引いて考えてくだされば幸いです。
確かに小野さんでしたらご飯カレーの本、って印象があったので面白いですね。
私みたいにつくる派でもある側には興味深いです。
今度書店で探してみます。
(今年のダンチュウのレシピ、まだ試せてないんですが…。)
それでは、失礼しました。
田舎なのでなかなか本格カレーは
食べれませんが、取れたて野菜でアスパラカレーなんてこれからですね我が家では。
最近までタラの芽フライカレーがブームでした
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