今日使ったお金:88400リアル(約1050円)
テヘランの第一印象はお世辞にもいいもんじゃなかった。
のっぺり、暑い、息苦しい――
まず、町がだだっ広いくせに、通りの建物の変化が乏しくてのっぺりした印象。自分がどこを歩いているかがわかりにくい。
それに太陽の照り返しが強い。暖かくなったばかりの日本から来た身には、きついことこの上ない。
息苦しいのは自動車のせいだ。3車線の道路を5台くらいの自動車が併走してひしめき合っている。スモッグがきつい。今まで訪れた町の中で最悪の部類に入りそう。
あ、もちろん、道を横断する時は危ないったりゃありゃしない。止まってくれる気配はないし幅寄せしてくるし。
いかついイラン男が群れていた
…と軽く毒づきながら町の南にあるバザールに向かう通りを歩いていたら、いかつい風貌のイラン人男が10人以上群れているのを発見した。先を眺めると、これまたいかつい風貌のイラン人のオヤジが、トマトやらピクルスやらをパンに載せて丸めている。
ははあ、これがサンドイッチ屋さんなんだね。いかついイラン男が美味しそうに頬張る姿をみているうちに、僕も食べたくなった。
群れをかいくぐって注文できるまでに数分がかかった。その間、後ろから来た新参者に先を越されること数回。ちゃんと行列する日本での生活になれていると、なかなか大変だ。
ペルシャ語がさっぱりわからない僕は指で「1個くださいな」と示すと、サンドイッチ屋のおじさんは大きくうなずいた。ついでに「ファラフェール?」と聞いてきた。中近東でポピュラーな、ひよこ豆入りのコロッケのことだろう。こちらもうんうんとうなずいて入れてもらう。
やってきたのは、朝食としては十分すぎる大きさのロール型サンドイッチ。中にはファラフェルのほか、トマトやキャベツ、ピクルスがたっぷり詰まっている。シンプルだけど、パンの素朴な味やトマトの濃い酸味がなかなかよい。
このサンドイッチに、イラン名物ザムザム・コーラがカップ1杯ついてのお勘定は…
4000リアル(約47円)!
安いっ。ちょっと感動した僕は、群れが店の前から離れるのを待って、お店の写真を撮らせてもらうのだった。
「あいつ、写真撮っているよ」といった具合に、イラン人の店員が笑っていた。でも何をしゃべっているかはもちろんわからない。まぁ気にしないでおくか。
この後、僕はサンドイッチをイラン各地で食べた。でも、ここより群れているお店も、安いお店も最後まで見つけられなかった。
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【サンドイッチ屋さんの情報】
エマーム・ホメイニ広場のナセル・ホスロー通りを南下し、最初に見付かる(バザールから一番遠くの)サンドイッチ屋さんがそれです。