武蔵野市吉祥寺本町2-13-4 (携帯地図)
Tel:0422-22-9107
予算:800円〜1100円
味 :★★★☆
辛さ:★★☆
量 :★★★
吉祥寺で代表的な喫茶店を三つ挙げなら、まめ蔵、くぐつ草、それに武蔵野文庫だろう。この3店、それぞれが個性的なカレーを出しているところが興味深い。
武蔵野文庫は1985年にオープンした。黒を基調としたシックな雰囲気で、壁には井伏鱒二直筆の書がかかっていたりする。「東京カフェマニア」さんによれば、オーナーの日下さんがかつて早稲田大学前にあった「茶房 早稲田文庫」で働いており、その後譲り受けたものだそうだ。
実は、粉から手作りしているというカレーのレシピも早稲田文庫譲り。50年以上の長きに渡って受け継がれた味なわけだ。ご託はこのくらいにして、カレーセット(1100円)をいただくとしますか。サラダと、コーヒーまたは紅茶またはヨーグルトが組み合わさったものだ。
うーん、ほろ苦い。
スパイスを焼いているのだろう。カレー・ソースを味わうたびに、独特の苦みが口の中に広がる。今どきのカレーにはあまり見られないタイプだ。年季が入ったカレーに共通するテクニックなのかな。やはりかなりの歴史を持つ三越前の印度風カリーライスや、新御徒町のサカエヤなどが、少し似た苦みを出しているので。
具のジャガイモや鶏肉は、カレーの味が染みているのに形がしっかりと整っている。これは崩れないところまで煮込んで、途中で引き上げるという工夫のなせる業。
落ち着いた雰囲気の中で、歴史の深みを味わう。大人らしい時間を、と考えているあなたにおすすめしたいカレーだ。