先日、ややIT色が強い方々が先導して、「アルファブロガー・アワード」というブログのコンテストを開かれていました。「まだ広くは目立っていないけれど、優秀で影響力を持ちうるブログを発掘、表彰しよう」という立派な意図のもとで、毎年1回開かれています。先日のものが4回目だったそうです。
ただ、このコンテストには「内輪色が感じられるのが惜しいなぁ」と、よそ者の僕は勝手に思っていました。どうやら傾向は今回も変わらなかったようで、「Student magazine」のポールさんのように、『「アルファブロガー・アワード2007」という内輪のイベント』と、率直な感想を述べている方もいました。
これに対し、アルファブロガー・アワードの発案者である徳力基彦さんは、「大きな反省点」と認識されたようです。次回以降は方向性を多少変えていこうとのお考えなのでしょうか?
もしそうであれば、勝手ながら一つ提案させていただきたく思います。選考の指標の一つとして、ヤフーのソーシャル・ブックマーク・サービス(SBM)である「Yahoo!ブックマーク」を加えるのはいかがでしょう?
■はてなブックマークだけではギーク色が強くなる■
昨年来、アルファブロガーの選考過程では、はてなのSBM「はてなブックマーク」を指標に使っていらっしゃいますよね。はてなブックマークの利用者数は確かに多いのでしょう。しかし、はてなの利用層は、近年大きく広がっているブログ全体の平均像と比べると、ある種の傾向の偏りがあるように僕は思います。
はっきり言えば、ギーク色が強い(ギークという言葉には敬意を込めています、念のため)。その結果、人気が出るブログや記事にもIT色が出やすい。それに浸ってしまうと、ポールさん仰るところの“ブログ業界の内輪”という印象を補強する材料になりがちです。
同じSBMでも、Yahoo!ブックマークですとネットに詳しくない一般の方の感覚に近い傾向を示しているように感じます(その例は追記で後述しています)。SBMを使える時点でネットに対するリテラシーが多少高いとはいえ。
ですから、はてなブックマークに加えてYahoo!ブックマークも参考にすることで、一般に近い感覚のブログをこれまでよりも多く選び出す一助になると思います。
さらに、一般に近い傾向のブログを多めに選ぶようになれば、内輪と評された表彰イベントに対して、「傾向を合わせて運営しないと」という意識が生まれてくるはず。そうすると内輪色が相対的に薄まることが期待できませんか?
■はてなで大人気のカレー記事がYahooでは注目されず■
さて、徳力さんには釈迦に説法でしょうが、はてなブックマークとYahoo!ブックマークの傾向の違いを、拙ブログの主要テーマでもある「カレー」を例に見てみましょうか。
例えば、はてなブックマークで「カレー」というタグが付いた人気記事の一つに、アルファブロガーであるfinalventさんの「極東ブログ: ナンのいい加減な作り方」があります。124人がブックマークしています(12月14日時点、以下も同じ)。
ところが、同じ記事をYahoo!ブックマークに登録した利用者はわずか2人です。
Yahoo!ブックマークの利用者が格段に少ないわけではありません。宣伝がてら拙ブログのトップページを例に出すと、はてなブックマークが121人、Yahoo!ブックマークはそれを上回る136人います。
■キャラ弁当はYahoo!で圧倒的な人気■
さらにカレー以外に目を向けると、Yahoo!ブックマークが圧倒的に優勢のブログがいくつもあります。例えば、かすみんさんのキャラクター弁当のブログ、通称「ギャク弁」。Yahoo!では487個もの登録があります。対して、はてなでは127個にとどまります。
このような、Yahoo!ブックマークで人気を集めるようなブログをどのように取り込んで、さらに表彰イベントの運営に反映していくか。それがアルファブロガー・アワードの内輪感を薄める一策になるのでは、と考えました。「議題設定力の大小」もブログの一つの魅力ですが、もっと多面的に楽しみ方が広がった時世ですから。
そうそう、今回はYahoo!ブックマークを提案してみましたが、決して「Yahoo!ブックマーク万歳」などと申したつもりではありません。もっと一般の方の感覚に近いサービスがあれば、それを活用したほうがよいに決まっています。
また、勝手なことばかり長々と申してきました。不快に思われていたら深くお詫びします。今後、アワードが大きく発展していかれることを、外側から楽しみに眺めさせていただきます。
タグ:メディア論(笑)
たあぼうさんの「余談・雑談ほか」が密かな楽しみな
USHIZOですf(^^;)
「アルファブロガー・アワード」はgooブログの
スタッフブログでも告知がありましたが、興味が
持てずにスルーしていました。
はてブは活用しているのですが、Yahoo!ブックマークは
恥ずかしながら、知りませんでした。
今度使ってみようかと思います。
確かにはてブの方がネットに深く入り込んだ方が
使っているような印象をもちます。
はてブのコメントがネガティブだとか、陰口だとか
そういう内容の記事を私が回覧しているところでも
よく目にします。
他社のブックマークとの比較、非常に興味深く
拝見させてもらいました。
これからも、たあぼうさん独自の切り口の雑談を
楽しみにしていますね。
それでは、失礼しました。
ははは。こんな記事にもちゃんと反応してくださり、感謝感謝です。
ネットをある程度使いこなしている人が陥りやすい罠があると思っています。「Google」や「はてな」といったテクノロジーのにおいがする企業が提供するサービスを、世の中の標準と思いこむ錯覚です。自分たちが便利に使っていると、他の人も使っていると考えてしまう。
でも実際には、日本ではGoogleよりもYahoo!で検索する人が圧倒的に多いわけです。同様に、ソーシャル・ブックマークでも、Yahoo!の存在を決して無視してはいけないと思うんです。
半ば自戒を込めつつ。
インフラとしては確立されたインターネットですが、ネット上でのサービスにおいて、未だウェブページ閲覧とメール、アンケートやプレゼント等くらいしか使っていないよ、というような層のユーザーが、いまだ一番マスが大きいのではないかと思います。
いわずもがなでフィードだソーシャルブックマークだってなんのこと?の人も大多数だったりします。
いい始めたらきりがない話ではありますがそういう部分を常に意識しながらものを考え、進めなければ、本当の意味でのすべてを網羅(無理はありますがあえて)するというのは無理になってしまいますよね。
俯瞰力を問われるのはどのビジネスでも同じだと思われますが、ネットの世界でこそ、強く必要とされる力なんじゃないかと思います。
思いもよらない場所でひょっこりと自分の言動が背中から見られている。
そういう世界ですもんね。
ちょっと怖いです。
もっと一生懸命考えなきゃ、とよく思うんです(そういいながらボクのブログは私言垂れ流し、なんです(笑))
全く仰るとおりです。自分とは違う人のことに常に気を配っておかないとですよね。一方で、万人向けではなかなか見てもらえない面もあるところが難しいのですが。
できるだけ俯瞰してから、誰に見ていただくか焦点を絞っていく。その姿勢を意識しておきたいものです。